きたがく 塾ブログ 2023年05月12日
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歴史を巡る~北海道から名古屋・仙台③ 「星空と夜明け、太平洋と沿岸の風景」

こんにちは、則武です。

今回は旅行記の3回目、仙台への道のりです。


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電照菊やメロン栽培などの施設園芸農業で知られる渥美半島の先端・伊良湖岬を越えて、船は太平洋に出ました。

外洋に出たはずが、進路には灯浮標の光がずっと見えています。

「海の上には、明確な道がある。それも、どこまでも」。初めて知りました。





深夜、浜松の夜景を左に見ながら星を見上げます。

洋上は明りが少なく、月明りで隠されながらも多くの星が見られました。

北斗七星、ポラリス、カペラ、アークトゥルス、アンタレス、デネブ、アルタイル、ベガ…。

その中で月にカメラを向けると、こんなに綺麗に撮影できました。クレーターまでくっきりです。



夜明けが迫る頃に伊豆半島南端の石廊崎を過ぎ、伊豆諸島のうち大島と利島の間を通過します。

利島は標高500メートルほどの円錐形の火山島で、伊豆諸島の有人島では最小の面積。

思いのほか近くを航行し、写真ではわかりにくいですが月明りに照らされシルエットが浮かび上がっていました。


いっぽう大島は教科書でご存じ、マグマの粘り気が柔らかく穏やかな噴火をする三原山で知られる島。

険しい利島と比較して大島は明らかになだらかな形をしています。

そしてその奥には伊豆半島の街の明かりも見えました。

日米和親条約で知られる下田と、温泉地で有名な伊東でしょうか。




やがて船は相模湾の沖合を過ぎ、房総半島の南端・野島埼を越えたあたりでは空が白み始めました。

奥に見える陸地は、もう関東地方です。

北海道の夜明けはまだ寒いですが、さすが暖流が通る南海の海、さほど寒さを感じずデッキにいられます。



昨日の夜から、ほぼ途切れることがなく貨物船の姿が見られます。

世界の移動速度が速くなっても、物流の中心は依然として船舶。

航空機は重量の関係から大量輸送には向いておらず、海運は今も我々の生活を支え続けているのです。


やがて、デッキに多くのお客さんが出てきました。ご来光です。



東の空からゆっくりと昇る太陽。

久しぶりに日の出をずっと見ていましたが、はっきりとわかるくらい太陽の移動がわかります。

これすなわち、地球の自転速度。

その速度はこの北緯35度付近だと、時速1500km、分速では25km、秒速では約410mあまりにもなります。

地球、速すぎ。


実はこの時、定刻よりも30分以上早くこのあたりに到達していました。

南太平洋から流れる黒潮は、潮流の速度が最大で時速8kmほどにもなり、これはこの船の速度の5分の1近くに達します。

地球は西から東に自転しているためこのあたりの潮流もその向きですが、この船はまさに東へ向かっていたので、大幅に増速していたのでした。

まさか、これほど地球の自転を実感することになるとは…。




右前方には、先行する貨物船が見えます。さらに右手にも、非常に大きなコンテナ船が。



これらがどの程度の距離まで見えるかで、実は地球の大きさを計算することができます。

海の上ならではの学習機会ですね。




やがて船は徐々に北へ進路を変えていきます。

見えてきたのは、安房鴨川の街並みのよう。

この裏側に、横須賀や横浜などの首都圏があるわけです。




しばらくすると、多くの釣り船が見えてきました。

千葉県・南房総市のあたりからやってきたのでしょうか。

どうもこのあたりでは鯛などが釣れるようですね。



さらに見ていると、この釣り船たちを遠巻きに見るようにして、水産庁の漁業監視船が。

仙台支部に所属する「むさし」のようです。

大型連休中にも監視とは、密漁防止のためとはいえ頭が下がります。





やがて船は犬吠埼を越え、いよいよ北関東から東北へ。



すっかり好天になりました。絶好の航海日和です。



これはまた珍しい貨物船が。硬翼帆(こうよくほ)と呼ばれる、風力を動力に変える新しいタイプの船です。初めて見ました。



次は、「さんふらわあ さっぽろ」。昨日苫小牧を出て、茨城県の大洗に向かっています。北関東工業地域へ直結する航路です。



さらに、「ほくれん丸」がやってきました。

釧路と茨城県の日立を結ぶ、農産物の運搬船です。

生乳や野菜類の輸送を担う、重要な船舶ですね。





左手には、福島の原子力発電所。

陸上から見ることは叶わない場所ですが、海上からは遠望することができます。





そして船旅最後のクライマックスは、名古屋へ向かう僚船との擦れ違い。

それまで出会ってきた船たちとは比べ物にならない、わずか400mの距離で汽笛を交わし合いながら過ぎていきます。



見るとあちらにもデッキにたくさんの人が。

こちらから手を振り、向こうからも振り返す。まさに一期一会ですね。





長いようで短かった21時間の航海も、まもなく終わり。

リアス海岸の南端たる塩釜・松島のあたりが見えてくると、仙台港です。



夜は星を見上げ地球の大きさを実感しながら、岸や港の特徴を垣間見る。

実に意義深い旅路でした。

ちなみに、潮流の影響もあり実に50分も早く到着しました。




この日は仙台駅近くで夕食などをとり、夜は友人宅に一泊。

明日はいよいよ、「おくのほそ道」巡礼の旅路スタートです。

歴史を巡る~北海道から名古屋・仙台② 「熱田神宮と信長塀、中京工業地帯」

こんにちは、則武です。今回は歴史ツアー2回目です。


名古屋空港からはバスと電車を乗り継ぎ、向かった先は、こちら。

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熱田神宮です。

歴代天皇が代々継いできた三種の神器の一つ「天叢雲剣」(あめのむらくものつるぎ、通称・草薙剣(くさなぎのつるぎ)とも)をご神体として祀る神社です。

「天叢雲剣」は「古事記」「日本書紀」にその伝説の記載があり、特にスサノオがヤマタノオロチ退治にあたって入手したこと、ヤマトタケル東征で使用したとされること、壇ノ浦の戦いで形代(かたしろ、いわばレプリカ)が平家滅亡とともに海中へ没したことなどでも知られています。



私も様々な神社を参拝したことがありますが、正直な話ここはそれらと比較して別格中の別格。

思わず身が引き締まります。



境内は非常に広く、北海道でも大規模な北海道神宮と比較してもかなり広いです。

何より荘厳さが違います。

周りにあるものも500年どころか場合によっては1000年規模の歴史を持っていて、

半端ではない歴史の厚みを感じます。

何しろ神話に出てくるだけあって創建がいつかわからない。

神話が創作のものだったとしても、少なくとも飛鳥時代にはこの地にあったようです。

すごいスケールの話です。



その中でも、今回ぜひ目にしたかったのがこちら。



「信長塀」です。



織田信長は1560年旧暦5月19日、今川義元の軍勢が前進したという報に接すると、敦盛を舞った後に午前4時頃清州城を出発。
午前8時にはここ熱田神宮に入り、軍勢を整えて必勝祈願をしたといいます。

その後現在の名古屋鉄道名古屋本線に沿うようにして進軍した織田勢は、午後の悪天候に乗じて桶狭間で今川義元を討ち取りました。



信長塀は戦勝の御礼として奉納されたものだそうで、このように境内の案内にも書かれています。


いま自分が触れているこの塀を、かつて織田信長も触れたかもしれない。

そもそも桶狭間の一戦の朝に、間違いなく信長はここにいた。

歴史のロマンの塊です。






そのほかに、展示物にもこんな文字が。「日本書紀」とあります。

この神宮には14世紀の写本が収蔵されており、歴史資料として貴重です。

その他にも、ご神体が剣ということもあって刀剣が多数収蔵されています。

時間があればもっと見学したいところでした。







さて、名古屋名物のきしめんを食し、次の目的地は名古屋港です。

今日はこのあとフェリーで仙台に向かいます。

このフェリー、仙台経由苫小牧行きなので、そのまま最後まで乗れば北海道に帰れるのですが、今回の利用目的は仙台滞在なので、途中下船です。

出港は19時ですが乗船開始が1時間半前からで、早めに乗船して食事をし、出港時の見学に備えます。



周囲に工場や倉庫などが立ち並ぶ港の一角にあるフェリーターミナル。

貿易額ベースで日本最大の港湾である名古屋港は、その背景として日本最大の工業地帯である中京工業地帯を抱えています。

周囲にはとにかく船舶が多く、連休にもかかわらず活気が感じられます。

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夕方の19時、定刻に出港。

空には金星と月が浮かんでいます。

満月に近いので、航海の最中は海面を明るく照らしてくれることでしょう。

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ほどなく、「名港トリトン」と呼ばれる高速道路の橋梁群のひとつ、「名港西大橋」をくぐります。

ご覧のとおり、高さはギリギリ。

そのはず、この橋はこの太平洋フェリーの通過を想定して設計されており、船のマスト高36メートルに対し橋の主桁高さは38メートル。その差僅か2メートルです。


実はこの船、長さも巨大船の定義ギリギリの199.9メートルになっています。

これは、このあと通過する伊良湖水道や、本州四国連絡橋の架かっている瀬戸内海の特定海域などの航行に制限がつくことを防ぐためのものです。

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次々に、大型コンテナを吊り上げる大規模なクレーン、輸出を待つ大量の自動車、知多半島の製鉄所をはじめとした工場群が見えてきます。

教科書通りです。輸出の多い加工貿易、中京工業地帯の主要生産品である自動車…。

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さらに右舷には、木曽三川のうち長良川と木曽川に挟まれた濃尾平野の輪中地帯にある遊園地「ナガシマスパーランド」、さらにその左には石油化学コンビナートで知られる四日市の明かりが。

あちらは三重県、地方区分でいえば中部ではなく近畿地方になります。

木曽三川が中部と近畿の境目になっており、ちょうどこのあたりがその境界なのですね。



船はこのあと未明にいよいよ太平洋へ。

ここから先の模様は、次回といたします。
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